- ロンドンのTONI&GUYでトップスタイリストとなり、現在もワールドワイドに活躍する雑賀英敏に、海外で求められる人材や技術について聞いた。
海外のサロンで求められるもの
- 海外と日本でスタイリストの
大きな違いは何でしょう。 - 僕がいたロンドンでは髪をセットしてイベントやパーティに行くことが日常だったので、サロンでもいろいろなスタイリングをしてあげる機会も多かった。
ところが日本はセットにしてもブローにしても、いかに時間をかけないかという考えが主流なので、お客様に新しいテクニックを伝える機会がとても少ない。
今、レベルの高い編み込みを上手にやっている日本人をたくさん見るけど、そんな国は他にないと思う。だからもっとこちらが働きかければ、お客様も応えてくれると思うんです。いろいろ教わって綺麗になれると分かれば、サロンに来ていただける機会も増えるでしょう。
日本のサロンでも、普段からブローやスタイリングをもっと強化するといいんじゃないかな。
日本人はもっと
スタイリングが上手くなれる
- スタイリングの能力も重要ということですね。
- むしろスタイリングの能力「が」重要なんです。
日本人って、カットの技術と、黒髪から赤い色にする技術は世界でも間違いなくトップクラス。なのにスタイリングになった途端、一気にランクが下がってしまう。
それはなぜか。日本でブローやセットといったスタイリングの技術が重要視されていないからです。ところが海外ではスタイリングのスキルがどれくらいあるかで評価される。この食い違いは大きい。
海外でも通用する仕事をしたかったら、スタイリングの技術は絶対に必要です。
日本人が海外で活躍するには?
- 日本人もスタイリングの技術を磨けば、
海外で活躍できる可能性が高くなるでしょうか。 - 日本のサロンにいるとカットやカラーが上手ければいいと思いがちだけど、その考えは完全に日本特有のものだよね。海外ではスタイリングが下手では仕事にならない。
さっき話したように、海外のサロンはスタイリングをする機会も多い。さらに雑誌・広告などの撮影やコレクションのバックステージでカットをすることなんてほとんどない。これは海外だけでなく国内も同じです。
特にトップレベルのコレクションでは、多くがロングヘアを結ってセットをするんです。デザイナーの求めるコンセプトに合わせて髪を作るので、カットやカラー以上にスタイリングの高い技術が求められる。
日本人の器用さやきめの細かさは、世界でも十分に戦える武器。さらにスタイリングの技術も磨いておけば、どこに行っても通用するスタイリストになることは十分可能だ。
スタイリングが上手ければ、世界的なアーティストやファッションデザイナーと仕事をするチャンスは確実に巡ってくると思う。