- 選ばれるスタイリストには独自のセンスがある。第一線で活躍し続ける雑賀英敏に、オリジナルのカラーを生み出すイメージの源について聞いた。
あらゆるものが
クリエイティブのヒントになる
- カラーリングの参考にしているものは
ありますか? - まず、絶対に外せないのがファッションのトレンド。コレクションからインスピレーションを得ることは多く、カラーに活かせるヒントも無数に見つかる。この業界にいる者の基本として、年2回あるコレクションはチェックしておくべきだと思います。
僕の場合は、音楽もインスピレーションの源になっている。聴くのはもちろん、旬のアーティストのヘアも参考になるし。例えば今ならビリー・アイリッシュ。トップだけ派手なスタイルが印象的だけど、落ち着いた色にすればサロンでも十分提案できる。
トレンドをそのまま真似るのではなく、そこから独自のスタイルを生み出すことで、自分の価値を高めて欲しい。
- 2020年のコレクションでカラーに
活かしたいと思ったトレンドは? - 今期のコレクションは、2種類の生地を組み合わせた服が目立っていた。光沢のある硬い素材からヒラヒラした柔らかい素材に切り替わるというアイデアは、カラーにも活かせるんじゃないかな。
ファッショントレンドの要素をどうヘアに取り入れるか、いつも考えています。
色はクオリティの時代へ
- 今年のカラーリングのトレンドは
どうなると思いますか? - TONI&GUY JAPANはここ3、4年ずっと色味が派手でカラフルなものが多かった。2020AWはそんなカラーのトレンドが、さらに進化していく。
ピンクや青のカラーリングがもはや当たり前になったので、今年は色のクオリティを追求します。そのぶん色味はこれまでよりちょっと落ち着いた感じが主流になる。
僕の作品の解説動画*1でも話していますが、髪の状態や褪色の具合に合わせて何色かを使い分けたり、細かく染め分けたりする。そうやって仕上がりのクオリティを高めたり、品を出していく。
TREND COLOR AWARDと同様、ウェアラブル*2なスタイルがトレンドです。
*1 TREND COLOR AWARDをイメージして雑賀氏が作成した作品のプロセス動画
*2 コマーシャルビジュアルのような、サロンスタイルに近いスタイル
“お客様目線”はあるか?
- 新しい時代に支持されるスタイリストとは?
- 自分の強みをInstagramやYouTubeなどでうまくプレゼンできるスタイリストは、やっぱり強い。強みを作るには、まず「自分はこれだ」というものをひとつ決めて、徹底的に極めること。強みができれば自信もつき、自然とプレゼンも上手くなります。
また、お客様目線でスタイルがちゃんと作れているか、常に意識することも大事だと思う。あまりにも美容師目線で作られたスタイルは、お客様には響かない。
お客様の言葉をよく聞き、お客様目線のスタイルを提案できるスタイリストは、どんな時代も求められると思います。