ひとつのものを創り上げていく
素晴らしさ
- NYFWのバックステージへの
観覧いかがでしたか? - ワタナベ バックステージ体験、ショーの観覧、ともにとても刺激的でした。モデルやアシスタントも同行できたので、彼女たちもとても喜んでいました。コレクションに参加したことによって、全員が自他を超えて同じ方向を目指し、ひとつのものを創りあげていくことの素晴らしさも味わうこともできました。
- どんなスタイルを担当されましたか。
- ワタナベ 50年代風ボディコンシャスなセットアップやドレスを着たモデルだったので、やはり50年代風のボリューミーなカールブロースタイルを担当しました。
- バックステージ体験で
印象に残っている出来事は? - ワタナベ 人数が多く、活気があったのが印象的でした。ショー終了後のバックステージでは、涙を流しているモデルやデザイナーもいて、感動しました。一体感があって良かったです。
- 今回の体験で鍛えられたこと、学んだことは?
- ワタナベ バックステージでの指示出しがすべて早口の英語だったので聞き取りにくかったのですが、それでも雰囲気を読みつつコミュニケーションをとるように心がけました。
実は変圧器が壊れるアクシデントがあったのですが、みんな慌てず積極的に対応していました。混乱の中でも臨機応変に対応する力強さや自分から動いていく姿勢など、精神面でとても勉強になりました。
「基礎は裏切らない」ことを
NYで実感
- 日本との違いや、
難しいと感じたことはありますか? - ワタナベ 技術やセンスに関しては、日本で学んだ基礎やコンテストで培った感覚で、充分負けていないと感じました。アシスタントの頃からブローは必死に練習してきたので「基礎は裏切らない」と思いました。そして、繊細さや緻密さ、丁寧なところは日本人の特徴なのかなと感じました。その点を磨けば海外でも武器になる気がします。日本との違いという意味では、黒人モデルのウェービーヘアといった毛質の違いに対応してゆく方法はとても勉強になりました。
- NYの印象は?
- ワタナベ リベラルで型破りなセンスや思考、文化があふれた街ですね。街並みは伝統的な建物と先鋭的な建造物とのハイブリットが面白かったです。日本人に対してとても友好的で、日本語をカタコトで話してくださる方もいました。
NYの人々はヘアのデザインがダイナミックで大胆で驚きました。海外のスタイリスト達のアグレッシブさや、どんな場所でも怖じけずに突き進む挑戦心、プロ意識などは見習っていこうと思いました。どんな状況でも混沌の中でもアグレッシブに、やれることをまずやっていくという姿勢はとても印象的でした。
それと、アーティストとしての自己主張の強さにはかなり刺激を受けましたね。ここまでやっちゃっていいんだ、自分をアピールしないと世界では戦えないんだと驚きました。日本にいるとつい空気を読むというか、遠慮しちゃいますよね? 海外でそれは必要ないことがわかりました。
- NYでの体験を経て
- ワタナベ 自分の仕事により強く、誇りや責任を持って向き合えるようになれたと思います。また、ファッションショーのヘアを担当したことで、新しい視点から美容の仕事の面白さを感じることもできました。
新しい場所、現場でも臆することなく自分らしい仕事をして応えていけるように、常に準備を重ねていきたいし、自身を高めていきたいと思いました。求めてくれる人がいてこその仕事なので、求められることがあればどんな場所にもチャレンジしていきたいと思います。