見た人が真似したくなるスタイルを
- エントリー作品について
アドバイスをお願いします。 - 今年は今までより少しサロン寄りのスタイルが求められています。そのスタイルのまま街を歩いた場合、道行く人が見て、すごく目立ってカッコいいと思うだけでなく、「やってみたい」と思えるスタイルです。いくらカッコよくても普段の生活には合わない、現実的ではない観賞用の作品というより、「自分もあの髪型にしてみたい」「美容師さんに相談して真似してみよう」と思えるような作品ですね。とはいっても、ありきたりなものでは作品になりません。ナチュラル過ぎないちょうど良い分量をどう料理するかがポイントになってくると思います。

髪ばかりに集中せず、
全体のバランスを見て
- 応募者が見落としがちなポイントは?
- 集中し過ぎると、つい髪ばかりを見てしまいますし、自分が立った状態から髪を見下ろした視点でばかり施術をしがちです。それだとバランスの悪い作品になってしまう可能性があります。時には手を止めてモデルから離れ、少し引いた距離からスタイルを見たり、モデルを椅子から立たせて、上からの視点ばかりでなく色んな高さから見てみたり、メイクや衣装まで含めた完成時のイメージや全身バランスまで確認しながらスタイルを創っていくといいと思います。

フィニッシュを見極める能力
- 審査員を長年経験されて、
応募者に共通した特徴はありますか。 - 審査ではカットやカラー以上にスタイリングの能力も重要視されるのですが、ブローやセットが苦手で受賞を逃している人が割といるように感じます。たとえば、ドライヤーでラフに乾かしていたときはすごく綺麗だったのに、仕上げに入っていろいろと触っているうちにもったいないデザインになっていく人が意外と多いです。仕上がりを硬く作り過ぎてしまい、動きがなくなってしまっているとか、最初は透明感があったのにパサッとしてしまったとか。こういう作品は、途中のよい状態を見ているだけに惜しいと感じます。その意味では「どこで終わりにするのか」フィニッシュを見極める能力もとても大事だと思います。大げさでなく、受賞を左右することもあります。

山田千恵
神奈川県出身。住田美容専門学校卒業。SHIMAに12年間勤務した後、DaBオープニングメンバーとして参加。以後サロンワークに於いて中心的なデザイナーとして活躍し、さまざまなジャンルのアーティストから支持される。現在はクリエイティブディレクターとして代官山店に勤務。女性の魅力を引き出す繊細な感性と卓抜した技術で、オリジナリティあるヘアデザインを提案し続けている。また、ヘアショーや各種コンテスト審査・撮影などでも精力的に活動。イマジネーション溢れる作品は評価が高く、そのファンタジックな世界観にファンも多い、女性美容師という枠を超え、他業界からもクリエイターとしてリスペクトを集める存在。